
ローランドのサンプラーW-30にはフロッピー・ディスク・ドライブ(FDD)が1つ搭載されているが、フロッピー・ディスク(FD)だけで運用するのは辛いので、できれば他のディスクドライブをSCSI(Small Computer System Interface、スカジー)で接続したいところだ。
CD-ROMドライブは、手持ちのドライブを4つほど試したが、どれも動かなかった。CD-ROMドライブの認識はするものの、読み込もうとするとW-30がハングアップする。情報が豊富なROLAND S-50 S550 S330 W-30 HOMEPAGEを読み返し、他のサイトもいくつかのぞいて解決策を探したが、どうやら、W-30が動かせるCD-ROMドライブは、中身でいうと1種しかないようで、現在入手するのは大変に困難なようだ。そんなわけで、CD-ROMはあきらめた。先述のサイトでダウンロードして焼いたCD-R3枚は無駄になってしまった。
光磁気(MO)ディスクドライブは、手持ちのいくつかのドライブの中で、アイ・オー・データ機器の「MDX-SX640A」(上の写真)が動いた。このドライブには、モード設定があり、ラベルにそれが書いてある。

モードスイッチを、ゼロにするとMOモード、1にするとHDDモードだ。ホストが「あなたはどんな機器ですか?」と尋ねてきた際に、MOと答えるか、HDDと答えるかが違うのだろう。W-30が認識するのはCD-ROMドライブとHDDだけなので、HDDモードがあるのは助かる。
MDX-SX640Aの背面写真がこちら。

電源ボタンの下にある黒いスイッチはSCSI IDの設定で、ここでは「6」にしている。W-30のホストのIDは「7」なので、それと重ならないように設定する必要がある。白いスイッチがモード設定で、ここでは「1」にしてHDDモードにしている。
このMOドライブにディスクを入れ(今回私が使ったのは230MBディスクだ)、W-30でフォーマットし、その後再度起動すると、以下のように画面が進む。

上の画面は、SCSI IDをチェックし、ID6にHDDがある、と言っている。ID0~5には何もないと解釈している。

上の画面は、発見したHDDの容量が80MBであると言っている。HDD容量がいくら大きくても、W-30がフォーマットできる最大容量は80MBで、そこには64のエリアがあり、1エリアごとにFD1枚分に相当する波形などを保存できる。
起動後に、SCSIデバイスの状態を知りたくなったり、何らかの操作をしたくなった場合は、「SOUND」ボタンを押してSoundメニューを呼び出す。

「8: SCSI Check」を選んでENTERボタンを押すと下の画面になる。

HDDのIDは「6」で、その容量は80MBであると認識している。ここでVALUEダイアルを回すと、別のIDのHDDに切り替えられる(あれば、だが)。左にあるメニュー項目を選ぶには、F1ボタン、F2ボタン、F3ボタン、F5ボタンのどれかを押す。
ここまで来て、MOドライブをHDDであるかのように使えそうであることはわかった。次は音の保存を試したいところだが、W-30の音が入ったFDを1枚も持っていない。どうしたものかと考え、先述のWebサイトにあった、80MBのディスクイメージを試してみることにした。
先述のWebサイトのサンプル・ページで「ZIP_Disk-1.zip」をダウンロードし、その中の「zipdisk1.img」を復元した。Windowsパソコンに富士通のUSB接続MOドライブを接続した。

製品名は「DynaMO 1300U2 Pocket」、モデル型番は「DMO13PT2S」である。底面のラベルにはそう書いてあった。

このドライブはどんな経緯で入手したのか忘れたが、今日まで、期待を裏切ることなく動いてくれている。ありがとう。
DD for Windowsを管理者権限で起動し、zipdisk1.imgをMOに書き込む。

「書込」ボタンを押すと、次のダイアログが出た。

イメージファイルの大きさがディスクより小さいが、それでいいか?と言っている。それでOKだ。「はい」を押す。

上のダイアログで「はい」を押すと書き込みが始まる。

5分53秒で書き込みが完了し、下の表示になった。

このMOを入れ、W-30で「Sound」→「5: Disk」→「1: Load Sound」と進み、「Device」欄を「HD」にすると下の画面になる。

これを見た時は「ラッキー!」と小躍りした。ただ、エリア1に入っている「L-501-01 ELECTRIC PIANO」は、うまく読み込めなかった。エリア2の「L-501-02 ELECTRIC PIANO 2」は読み込めた。何かがどこかで壊れたのだろう。
さて、上の画面では、エリアの右端に「S」と表示されている。これは、S-550フォーマットであることを示している。W-30で使うディスクに変換する機能がある。「Sound」→「8: SCSI Check」と進んでF5ボタン「Utility」を押し、「7: HD Convert」を選ぶと下の画面になる。

ここでF1ボタン「to [W]」を押すとコンバートができる。

上の画面は大変にわかりにくいのだが、「Are you sure ?」と問われてF5ボタン「Execute」を押し、最上行に「Now working 93%」と表示されている。この「93%」は、「残り93%」の意味で、徐々に数値が減っていく。0%になると終わりかというとそんなことはなくて、その後、W-30のシステムなどをディスクに転送するのにけっこうな時間がかかる。230MB MOを使って、13分17秒を要した。
コンバートが終わると、エリア一覧画面は下の図のようになる。

エリアの右端に「W」と表示されている。
こんなわけで、一応MOドライブを使えるようになった。
残念なのは、MOからの起動がうまくいかないことだ。起動は相変わらず、FDから行う必要がある。
一方で嬉しかったのは、W-30を起動したまま、MOのディスクを交換できることだ。下の写真のように、SCSI Checkメニューには「P.Heads」「Restart」という機能がある。

F2ボタン「P.Heads」を押すとMOドライブの回転が止まる。その状態でイジェクトボタンを押してMOディスクを取り出し、別のMOディスクを入れてF3ボタン「Restart」を押すと、新しいディスクの読み書きができる。こうすれば、MOディスクの中身をW-30にロードし、別のMOディスクに保存できる。これは嬉しい。
いくつかの音色を弾いてみた。最新のPCMシンセの音が写真だとすると、W-30の音はイラストか漫画のようである。ただ、手で描いた絵が、リアルではないゆえの力を持つことがあるのと同じように、リアルではなく効果音のように聞こえるW-30の音が面白いと感じることもある。
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