
エンソニックのTS-12を購入した。3万9000円。
エンソニックは1990年代に多くの製品を出したメーカーであるのだが、我が家にあるのはSQ-Rだけであった。この会社は音源モジュールというものをあまりリリースしなかった。鍵盤付きの製品が多いのである。そのため買いにくかった。それでも、TSシリーズは、一度は弾いてみたいものだとは思っていた。
TS-10はポリフォニック・アフタータッチ付きの61鍵盤で重量は16.78kg。TS-12はチャンネル・アフタータッチ付きの76鍵盤で重量は24.9kgだ。ポリフォニック・アフタータッチの鍵盤はこれまで経験したことがないのでTS-10がいいなぁ、と思っていたが、手ごろな価格のものが目の前に現れることがない。TS-12が目の前に現れて、チャンネル・アフタータッチの方が動作が確実かなぁ、オクターブ上下ボタンがないから76鍵盤の方がいいかも、上面の左右に物を置けるかも、などと理由を付けて、結局買ってしまった。
買ってから、24.9kgという重量が心配になった。手持ちの電子鍵盤楽器の中では、カワイMP9500(32kg)に次ぐ重量である。ヤマハEX5(20kg)、Nord Stage EX 76(16.5kg)、コルグT2(15.5kg)、Nord Stage 3 76(12.5kg)より大変に重い。ちなみに、MP9500は一人では動かせない。TS-12を扱えるんだろうか、と心配になった。
今回のブツはフライトケースに入っており、この状態だと30kgを超えていそうである。一人で運ぶのはかなりきつい。2階に運ぶ際は、中身だけ出して妻と2人がかりで運んだ。
とりあえず電源を入れて、音が出ることを確かめてほっとしたが、中でカラカラ音がすることと、ピッチベンドホイールが右に傾いていることが気になり、ふたを開けることにした。床にマットレスを敷き、一人でなんとか開け閉めができた。
裏面がぱかっと外れるようになっているが、底面と背面のねじを盛大に外さなければならない。ホイールが付いているコントローラー部を外すには、FDDのネジを4本抜いて、FDDを引き抜き、その下に現れるネジ2本を外す必要がある。また、コントローラー部は裏面方向には出せないので、上面方向に引き抜く必要がある。
コントローラーは下の写真のようになっている。

ホイールの固定は1枚板なので、上から力をかければ右斜め下に沈んでしまう。とりあえず、ネジを締め直し、板に手で力を加えて、ある程度まっすぐにした。
下の写真は、FDDだ。ソニー製である。

FDDはまだ試していない。無事に動いてくれることを祈る。
メモリーモジュールも見えた。

30ピンSIMMが2枚あるが、容量はまだわからない。
バックアップバッテリーはソケットではなかった。

いつ切れるのかなぁ。心配だなぁ。
そうそう、中には100円玉とゲーム用のコインが入っていた。
TS-12が大したもんだと思ったのは、蛍光表示管のディスプレイである。

1990年代の私は、どうしてこんな情報量の少ない、時代遅れの表示装置を使うのだろうかと思っていた。それはとんでもない間違いであった。老眼になるとこの字の大きさは好ましい。1990年代のシンセの多くはバックライト付き液晶ディスプレイを採用し、その多くは視認性に問題を抱えている。それに比べて、TS-12の蛍光表示管のなんて美しいこと。
音をお一つ。
DIGIWARMTH
TS-12では、「Sounds」が一つの音色で、それを組み合わせたものが「Presets」であるようだ。Presetsの最初にあるU0-0の1が、この「DIGIWARMTH」である。デジタルだけどウォームだよ、という作り手の気持ちを感じる。
ペダル類は、コルグの2極ペダル(型番はDS-1?)でサスティン(cc#64)が制御でき、ローランドEV-5でボリューム(cc#7)を制御できている。マスターキーボードとして使えるかどうか、しばらく試してみたい。
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