
フォステクスのエフェクター「DE-1」を買った。2000円。送料込みでこの価格では、売り主に入る金額は微々たるものであると思う。安く譲ってくれて、ありがとうございました。
フォステクスは、エフェクターをそんなにリリースしていないと思う。この手のデジタルマルチは、DE-1のほかには、DE-10(製品情報ページ 、Sound On Soundのレビュー記事 )くらいしかないんじゃないだろうか。DE-10のレビュー記事はなかなかに辛辣で、安いけれど、安いなりの音だ、ということで決して薦めてはいない。
DE-1とDE-10の違いは、DE-10にエフェクトのアルゴリズムがいくつか追加されていること、ギターまたはマイクを接続する端子が追加されていることだ(多分)。シングルモードとデュアルモードがあり、前者では2入力2出力で、後者では1入力2出力×2で使える、というのは、DE-1とDE-10で共通だろう。
DE-1を買ってみようと思ったのは、ここ数日、ローランドのU-220のリバーブやMV-30のリバーブとコーラスを聞き、昔のエフェクターには昔のものらしい味わいがあるなー、と思ったからだ。DE-10は、1999年の製品で、サンプリング周波数が32kHz、周波数特性は20Hz~15kHzであるという。昔っぽい味わいの一品だろうと思って買ったが、届いて鳴らしてみても、そうだと思った。
リバーブはかなりわざとらしいもので、後の製品とは比べものにならない。でも、シンセの音にかけると気持ちの良さがある。ディレイは普通に使えそうだ。
Blofeld "Saw1" with DE-1 "Normal Mono Delay"
デュアルモードにしてエフェクト1のディレイのバリエーション1「Normal Mono Delay」をかけたもの。センドリターンでかけているが、録音した際はそうではないと勘違いしていて、MIXつまみを中央にしていた。原音にうまい具合にからんでいるし、原音のデジタルっぽさとディレイのデジタルっぽさがほどよく合っている。
コーラスとフランジャーも、かかりがきつくて嬉しい。
Blofeld "Saw1" with DE-1 "Duo Frange"
うわー、お下品ー、ウキウキという感じのフランジャー。これはインサーションでかけた。原音の高域が削られた気がしなくもない。
デュアルモードで使う場合は、背面の入力レベル調節つまみ、前面のTYPE、VARIATION、ADJUST、MIXつまみで操作することになる。エフェクトのパラメーターを調整するつまみは一つだけで、簡単ではあるが、物足りなくもある。
一番困るのはピッチシフトの場合だ。ADJUSTつまみで調整できるのはエフェクト音のピッチで、これがプラスマイナス1オクターブで、なおかつステップ数が少ないようで、デチューンがうまくできない。それをしたい場合は、シングルモードにしてパラメーター調整つまみを3個にし、3つ目のつまみがプラスマイナス1音なので、それで調整するしかない。この音がなかなか素敵だっただけに、それをデュアルモードで使えないのは残念だ。デュアルモードのピッチシフトに、デチューン用のバリエーションを作ってくれたらよかったのに。
バリエーションの中には、ディレイ+リバーブ、コーラス+リバーブ、フランジャー+リバーブといった複合エフェクトも用意されていて、便利そうである。全般にかかりが派手で、私は好ましいと感じる。
こうした、ノンプログラマブルなデジタルリバーブというと、以前持っていたLexicon LXP-1、Alesis Microverbを思い出す。どちらも壊れて廃棄して、今手元にはない。
DE-1は1999年の製品だが、そこから22年が経過した現在に鳴っているのだから、大したものだと思う。MADE IN JAPANならでは、なのだろうか。
ノイズフロアはマイナス65dB程度で、どうしようもなく悪いというほどではないが、良くもない。S/Nを稼ぎたい場合はセンドリターンで使うのがよさそうだ。多少汚れてもいいや、という時はインサーションで使うのもありかもしれない。
インターネットでマニュアルPDFを探して、英文のものは見付けた。日本語のものは見当たらなかったので、紙のマニュアルをスキャンした。パソコンに入れておかないと、いざ使いたい時に見れないからだ。日本語の方が原文であったのか、説明がこなれているように思う。
このごろでは、ハードウエアのエフェクターはギター向けしかない。シンセ弾きにとっては、ギター向けのエフェクターは設置と操作が難しい。DE-10のような昔のエフェクターを拾うのも、ある程度は必要かもしれない。
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